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鍼灸でミュージシャンのお悩み解消(フォーカルジストニア・局所性ジストニア・腱鞘炎・管楽器演奏時の口周りの症状など)のお手伝いを行っている練馬区のコンチェルト鍼灸院 院長の松浦聡です。
さてさて、TWITTERなどSNSでも話題になってましたが、2019年9月15日のマラソングランドチャンピオンシップ開会式にて、国歌独唱を務められたコブクロの小渕健太郎さんの歌が話題になっていますね。
なにやら誹謗中傷含め様々なコメントがつぶやかれておりますが、個人的には「叩くほどのことでもないでしょ」位にしか思ってません(-_-メ)
プロだって音を外すことや歌詞を忘れることなんていくらでもありますからね!!
コメントの中には「緊張からキーが高くなりすぎた」という声も上がっていますが、分かったつもりになっている音楽ど素人による批評です。
ちなみに、小渕さんは本番前から限界への挑戦ということでファルセットで歌いきると決めており、リハーサルでは余裕も感じさせるくらいにしっかりと歌えています。
*リハーサルの歌はTWITTERに投稿されていたのですが、現在は限定公開になってしまったようで、フォロワーさんしか見られないようです。
https://twitter.com/koharuchan5296/status/1173186907099955201?s=20
ではなぜ本番ではリハーサル通りにできなかったか・・・というよりもなぜファルセットで歌い切ろうと決めたのか、小渕さんの真意は測りかねますが、個人的な推測・考察を書かせていただきます。
*ファルセットで歌うことにしたオフィシャルな理由は、限界を超えるマラソン選手にあわせるためか敬意を表してか、自分も音域的な限界に挑戦するというような内容だったと思います。
まずは、小渕さんが過去に患ったことを公表した発声時頸部ジストニアの症状ですが、高音を出すときに首の筋肉や声帯周りの筋肉に不随意に力が入ってしまい、高音が出せなくなる状態だったそうです。
当院のブログで頻繁に紹介している、機能性発声障害(声帯のジストニア)ですが、様々なタイプの症状があります。
声がひっくり返ってしまう外転型や、喉が詰まって声が止まってしまう内転型、緊張していなくても普通にしゃべる声も震えてしまう痙攣性発声障害などもあります。
ちなみに、声を生み出すのは呼吸の呼気(吐く息)で声帯を振動させることですが、左右の声帯を細かい筋肉が引っ張ることで音程を高くしたり低くしたり調整します。
機能性発声障害を発症すると、声帯を引っ張って音程を調整するような筋肉の筋緊張の調整がうまくいかなくなるので、音程を一気に高い音に跳躍したり、低い音に下げたりするのは、症状が出やすくとても歌いにくくなります。
外転型でも内転型でも挙げられる特徴として、特定のキー(音の高さ)で症状が出てしまう方や、音程を高く上行させる時に特定のキー(男性だとHigh Eあたりの高さで、地声からファルセットに切り替えるくらいの音)で症状が出やすい方を多く診てます。
発声をファルセットに切り替えて、そこから更にキーを高くしても、それほど問題なく症状も出ない方が多いと感じてます。
さて、話を小渕さんに戻して、リハーサルの段階では問題なく歌えており、尚且つ最高音のキーの高さにもまだ余裕があるようにすら感じられました。
そして、小渕さんがファルセットから地声にひっくり返ってしまったのは、曲中の最高音でも高音域でもなく、出だしと途中の最低音の部分、音はおそらくhigh E・・・?(絶対音感ないので、違ってたらごめんなさい!)
以上の内容を踏まえた私の推測ですが、高音域を広く出せる小渕さんなら、地声とファルセットを何度も切り替えるよりもファルセットのみで歌い切ったほうが、オリジナリティがありなおかつ音域的にも限界に挑戦できるという攻めの姿勢、もしくは安全に歌い切れるという守りの姿勢だった、はたまたその両方なのか、全く関係ない理由だったのか・・・ご本人のみ知ることですね(-_-;)
結論をまとめると、伴奏のないアカペラで、ファルセットと地声の境界あたりのキーで始まるという難易度に、トップランナーが集まり日本代表を決めるマラソン大会の開会式という緊張が加わって、歌の第一音目でミスをしてしまって後に引きずってしまったのではないかと考えました。
ということで、ボーカルも楽器プレイヤーもスポーツ選手も、自分の得意なフィールドにおいてでも、誰でも失敗はあります!
緊張する場面ならなおさらです!!!
小渕健太郎さんという素晴らしいミュージシャンには、これからも素晴らしい音楽をファンの皆さんに届けてほしいと願っております♪
個人の症状を分析して書くのは非常に迷いましたが、フォーカルジストニアという病気や症状を一人でも多くの方に知ってもらえればと思い長文のブログを書きました。
最後までお読みいただきありがとうございましたm(__)m
最近書かせていただいた、発声障害関連のブログももしよければご覧くださいませ♪
・発声障害のリハビリ方法「腹式呼吸と胸式呼吸」
・発声障害のリハビリ方法「呼気の安定」
・発声障害のリハビリ「声帯に負担をかけない発声方法」
2019
23Sep
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