本日は東洋医学的な弁証(体質)の一つ『血虚』についてご説明いたします。
血虚とは
体を養う栄養分の『血』が不足した状態を言い、以前にブログで紹介した「血瘀」と反対の状態です。
*「血」は現代医学的な「血液」とほぼ同じ意味とお考えください。
血と関係の深い臓器には五臓六腑の「脾・心・肝」が挙げられます。それぞれの働きは、脾で飲食物から血を生み出し、心が血を全身に配分し、肝は余剰の血を蓄えるという働きがあります。
血の働き
五臓六腑や五官「目・舌・口・鼻・耳・泌尿生殖器」の働きを正常化し、筋肉や皮膚・爪・髪の毛などを栄養する作用が有ると考えられております。
そのため、血が不足すると貧血・手足のしびれ・動悸・眩暈などの症状や、肌が乾燥してカサカサしたり、疲れ目・耳鳴り・こむら返り等が起こります。(症状が多岐にわたるのは、どの臓腑・部位の血が不足するかで現れる症状が異なるからです)
婦人科関連の症状としては、月経血の量が少ない・生理周期が遅い(30日以上)・月経血の色が薄く淡い色などが挙げられ、生理痛のタイミングは生理が始まってから痛みが出る方が多いです(もともと血が不足しているのに月経でさらに血が流出するため)
生理前に痛みが出るPMSの場合は、気滞・血瘀といった実証をまず疑います。
血虚による不妊症の方では、子宮内膜が薄い・卵胞の発育が悪い・胚盤胞まで育たない・胚盤胞のグレードが低い・血虚が進行して生理が止まってしまっているなどが挙げられます。
血が不足する原因
無理なダイエットで栄養をしっかり取らないと血は不足します。
他にも、長時間パソコンや本を見続けて目を酷使したり、過労やストレス・思い悩みすぎることでも血を消耗してしまうので、ゆとりを持ってリラックスできる時間を作ることが望ましいです。
血を補う方法
①食事
血が不足したらどうすれば良いかと言うと、血を補う材料は食べ物なので、できるだけバランスの良い食事を規則正しくとるようにしましょう。
そして、消化吸収の効率を良くするために「脾」の機能を高めるとともに、血を生み出す食事をしっかりと摂ることが効果的です。
血を効率よく生み出す食べ物は、プルーン、なつめ、枸杞子(クコの実)などのドライフルーツやレバー・赤身の肉などが挙げられます。(個人的には血虚の改善には鍼灸よりも食事や生活習慣の改善が重要と考えてます)
②漢方薬
漢方薬では不足した血を補う薬(補血薬)を使います。
四物湯や帰脾湯・当帰芍薬散などが挙げられますが、体質や症状によって処方が変わりますので自己判断せず漢方薬局で相談することをお勧めいたします。
ちなみに、帰脾湯に含まれている「竜眼肉」という生薬ですが、中国など東南アジアでよく食べられているライチのような果物で、血を補う効果があります。
日本でも沖縄で生産されているようですが、練馬区・板橋区・杉並区あたりのスーパーでは売られているのを見たことが御座いません。
③鍼灸
最後に鍼灸で血を補うツボはというと、背中の第7胸椎の高さで背骨の中心から1寸5分ほど外側にある「膈兪」というツボと、足首にある「三陰交」が挙げられます。
膈兪は自分でお灸をするのは難しいので、パートナーにお灸をしてもらうか、三陰交のみお灸をするのでも良いかと思います。
左右のどちらのツボを選ぶかは、左右で同じツボの位置を触ってみて、より深く陥凹している側が血虚の治療点となります。
パートナーに連日お灸をしてもらうのが難しければ、パイオネックスなどの置き鍼でしたら一度貼ったら1週間くらい貼りっぱなしで大丈夫なので、そのような方法でも対応できます♪
2015
23Apr
この記事へのトラックバックはありません。