不妊症の鍼灸施術第3弾となりますが、前回と同じくテーマは「胚移植時の鍼灸施術による妊娠率への影響」です。
鍼灸施術を行うタイミングは同じですが、今回紹介する研究では鍼灸施術での刺激する方法が経皮的経穴通電刺激法(TEAS)と具体的に報告されております。
(出典:Fertility and Sterility、)
まず、経皮的経穴通電刺激法とは、磁石電極などを皮膚に付けて電気刺激を通すことで刺激する方法で、元は麻酔薬を使わずに患者の意識を清明に保ったまま手術する際に利用して行っていた麻酔方法です。
1972年に訪中したニクソン大統領の目の前で、患者の意識を保ったまま開頭手術を行い世界中を驚かせたこともあります。
以下、研究の内容です。
【対象】
45歳以下の309名の患者を無作為に3つのグループに分けて凍結胚移植、または新鮮胚移植を行った。
2015
25Jan
不妊症の鍼灸施術【経皮的経穴通電刺激法(TEAS)】
グループ①:99名
胚移植の30分後にTEASを行うと見せかけた群
グループ②:110名
胚移植の30分後にTEASを1回行った群
グループ③:100名
胚移植の24時間前と30分後の2回TEASを行った群
【結果】
グループ①
妊娠率29.3%、着床率15.0%、生産率21.2%
グループ②
妊娠率42.7%、着床率25.7%、生産率37.3%
グループ③
妊娠率50.0%、着床率25.9%、生産率42.0%
結論
胚移植の際にTEASを行う事は(特にTEASを2回行う事は)、妊娠率を有意に上昇させる事がわかりました。
以上の内容より、胚移植の際にTEAS行う事で有意に妊娠率・生産率が上昇しているため、TEASは効果的であると言えます。
体外受精・人工授精の前後だけでなく、普段から鍼灸施術を受けてホルモンバランスや自律神経のバランスなど体質を改善することと、鍼灸の刺激に慣れておくことも重要です。
不妊治療中の方だけでなく妊娠・出産を希望される方は、副作用もなく身体に優しい鍼灸施術を普段から受けておくことをお勧めいたします。
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