本日は、フォーカルジストニアという楽器奏者が患う疾患の症例を報告させていただきます。
まずは、ご存じでない方が多いと思いますので、フォーカルジストニア(ジストニア)という病気についてご説明させていただきます。
ジストニアとは、音楽家の方が発症する疾患で、演奏に必要な動作をしようとしても身体をうまく動かせなくなり、上手に演奏できなくなる疾患です。
生命にかかわるわけではないので、楽器に興味のない方からしたら大した病に聴こえませんが、演奏が好きな音楽家にとってはとても辛い病気の一つです。
この病気が厄介なのは、発症してすぐのころは病気と気づきにくく、上手に演奏できない理由は「練習が足りない」とか「スランプに陥った」と考えて練習を繰り返し、そして練習すればするほど更に悪化してしまう病気ということです。
そのため、練習熱心で自分に厳しい完璧主義者タイプが発症しやすい傾向にあります。
ちなみに、私はピアノを弾きますが・・・ジストニアどころか腱鞘炎にもなったことありません( 一一)
本日の症例の患者さんはエレキギターのギタリストで、昨年末にジストニアを発症してから病院を受診しましたが、悪化の一途をたどっているため藁にも縋る思いで鍼灸院の門を叩かれました。(ご本人のご許可を頂いたうえでブログを書かせていただいております)
来院頂き、細かくお話を伺って鍼灸施術を行う前に演奏を聴くと・・・普通に上手です
・・・がしかし、映像をしっかりと見るとわかりますが左手の中指と薬指をコントロールするために必要以上に指を曲げ伸ばししており、その弊害として、触りたくない弦に指が触れてしまい、出したい音を綺麗に出せていない状態です。
ジストニアを発症する前は、明らかにこの動画よりも上手にきれいな音で演奏できていたと思われます。
そして、施術後の演奏がこちらですが、施術前と比べて弦に触れてしまうことが減り、ギターの音が綺麗に鳴らせております。
当院でのジストニアの施術は、東洋医学の考えをベースに臓腑のバランスを整え、西洋医学的な考察より筋肉の緊張のバランスを整えることをベースに行います。
楽器をご持参頂いて施術のビフォアー&アフターを撮影し、施術効果を確認いただくことが一般の鍼灸院とは違うところです(ピアノは電子ピアノを設置しております)
ジストニアのような難治性の疾患を一度の施術で完治するのは難しいですが、少しずつ演奏を楽に行えるようになり、演奏するのが楽しいという感覚を取り戻していっていただければと思っております(*^^*)
ギタリストのフォーカルジストニアに対する他の鍼灸症例はこちらをご覧ください♪
・フォーカルジストニアの症例(ギタリスト)
ちなみに、症例の患者さんは1日の練習時間が4~5時間と趣味の領域をはるかに超えておりました!
そしてご一緒にいらっしゃった奥様は、ご主人を思いやり楽しい趣味の時間を取り戻せるようにとご自身の時間を削ってまで鍼灸施術に同席し、施術内容をずっと見守っておられました。
一般的には、旦那さんが趣味に時間を費やしていたり、自宅にギターが何本もあることについて不満を口にする人の方が多いのですが、ご主人を心配し、趣味のギターを再び楽しめることを心から願っておられる心優しい奥様でした(#^.^#)
自宅でのセルフケアも行いつつ、是非ギター演奏を楽しみながら頑張って頂けたらと思っております♪
2015
02Apr
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